前フリが長いから早く盛り上がれ!と急かしてしまいます。
プリンセス・トヨトミ 万城目学
先日、新横浜駅で新幹線に乗ろうかと歩いていますと、手前からおじさんがツカツカと勇んで改札に向かったと思ったら開口一番駅員さんに
「お前の会社どないなってんねん!」
と言うわけである。
興味を惹かれた私は切符を買うふりをし、また崎陽軒の店を探すふりをしながら聞き耳を立てておりますと、駅についたにもかかわらず、ドアが開かず危うく出られなくなったと言うのです。
出れたのだから、いいではないかと私なぞは思うわけだが、その御仁は更にキレまくっているわけなのだ。
よくもそんなに知らん人間に対し、怒鳴れるものだと感心してしまう反面、家でもこんなんやったら、家族嫌やろなと半ば同情すら感じてしまう。
怒りって泣いたりするのと違い、何処か冷静でかつ制御本能が働くモノだと思っている私はそんな状況を見てどうしても賛同することが出なかった。
そんな、怒る大阪国民とお役人との闘いを描いた物語であるが、単なる怒りではない。
そこには各々の立場の「信念」というものがあり、「使命感」があるのだ。
決して感情に任せたあの改札駅で見た哀しいおじさまの怒りとは似て非なるものなのだ。
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