百姓が侍を斬る。それがとういうことなのか、おめえに言ったところでわかりはすめえがの。
輪違屋糸里 下 浅田次郎
浅田作品の中の芹沢鴨は決して嫌われ者でなく、近藤勇以下百姓上がりで侍になりたかった者たちからすると彼は侍の中の侍であった。
そしてその百姓が侍である芹沢を斬る事の心情が見事に描かれております。
その背景の中での女性の心情や立場を描いており、おそらく読む人によっての印象は大きく変わるような気がします。この物語の登場人物の誰の立場になって考えるのが良いのかはわかりませんが、タイトルになっている糸里目線がいいのかもしれません。
すると芹沢暗殺の手伝いをする上で、愛する土方の見方をするのか。また友人である吉栄の為に・・・。と考えますとそのクライマックスは非常に読み応えがありました。
個人的に好きな三番隊隊長の斎藤一は要所要所で出てはきますが、陰湿な殺し屋タイプで少しだけ活躍されておりました。
上下巻を読んでいる間に壬生寺にも行ってきたあたりが、影響されやすい性格が丸出しであります。
あの人(近藤勇)は芹沢さんが好きなんだ。
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