去り際が肝心であると言うこと 宮本武蔵(七)

宮本武蔵(七) 吉川英治

小生は会社に属しその働いた対価でお給料というものを頂戴しております。

会社に属するというのはやる気がなく一日中ぼーっとしていても、毎月のお給料がもらえます。度が過ぎますと「あなた明日から来なくてもいいよ」ということになりますが、そういうケースはあまり遭遇いたしません。

私の身近で試用期間延長二回後に結局お引き取りいただいた強者がいましたが、かなりのレアケースと言えます。

試用期間というのは会社内定後、初めから正式の本採用としないで、一定期間を定めて試しで雇ってみるというもので、この期間中に能力や技能、勤務態度・性格などの適格性をみて、正式な社員として採用するかどうか決める期間です。

さて、宮本武蔵という御仁ですが牢人であるわけですから、どこの藩にも召し抱えられず所謂フリーの武士ということであります。

召し抱えられると禄がもらえます。そうすることでおまんまにありつけれるわけですが、当然のことながら藩に属さなければ自ら稼いでこなければなりません。ですので、牢人は自分の腕前を上げドラフトにかかり、召し抱えられその中でさらに豊臣秀吉のように立身出世を切望するわけであります。

彼は剣の腕前が認められ推挙された結果、ある藩に召し抱えられるはずが良くない評判が先行してしまい、結局破談となってしまう。

そして、その屋敷を去る時にそこの豪壮な門を跨いで考えるのである。

入るが栄達の門か。出るが栄光の門か

彼の性分としては何かに属することなく、己のみで邁進していくというその気概が素晴らしいと感じたわけであります。決して強がりではない本心の気持を出して去ってゆく、カッコいいじゃありませんか。

私も会社クビになった時はそっと上司の前に「辞表」を置き、このセリフを吐いてカッコよく去りたいと思います。

 

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